A型で在宅は原則選べない?通所が基本の理由と、自治体が厳格に制限する例外

就労継続支援A型事業所を利用したいと考えたとき、「体調の波があって毎日通うのが難しい」「在宅で働けるA型はないのか」と疑問に思う人は少なくありません。

現在は自治体のルール付けなどの影響でA型で在宅勤務(在宅利用)は制度上可能ですが、原則として無条件で選べるものではありません。

通所が基本で在宅は市町村が支援効果が認められると判断した場合に限られる、極めて例外的かつ厳格に制限された扱いです。

近年は不正事例を受け、自治体の審査と制限がより厳しくなっています。

最近でも在宅・テレワークのお問い合わせを多くいただきます。大阪市では現在かなり厳格に在宅は制限されています。その辺りを今回は解説していきます。

通所が基本とされる理由

就労継続支援A型は、雇用契約を結んで最低賃金以上の賃金を得ながら、就労に必要な知識や能力を高めていくサービスです。その中核にあるのは事業所という場での支援です。

まず、職員が利用者の状態を直接確認しながら作業の指導や相談を随時行えることが重視されています。

対面での関わりによって、作業の進捗だけでなく、体調の変化や人間関係の課題にも気づきやすくなります。生活リズムを整えたり、他の利用者との関わりを通じて社会性を養ったりする点でも通所の価値は大きいとされています。

また、A型は公費(障害福祉サービス報酬)で支えられる制度です。

そのため、生産活動として適切な内容が提供されているか、訓練として効果があるかをしっかり確認する必要があります。通所を原則とすることで、支援の質を担保しやすくなるという側面もあります。

厚生労働省の通知でも、直接処遇職員は原則として対面での支援を行うことが求められると明記されています。

事業所としては利用者ごとの適切な支援を行いたいところですが、在宅では作業ができたとしても利用者の状態の管理が遠隔のみでは把握しにくい点はネックになりやすいです。

在宅利用が認められる条件と、極めて厳しい要件

在宅利用の対象となるのは、「在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者」です。本人が希望するだけでは足りず、市区町村が「在宅でも支援の効果が期待できる」と認める必要があります。単に「通うのがつらい」「通勤が不便」という理由だけでは、ほとんど認められません。

事業所側にも厳しい要件が課せられています。作業・訓練のメニューが常に確保されていること、1日2回以上の連絡・助言・進捗確認を行い日報を作成すること、緊急時に職員が速やかに駆けつけられる体制を整えること、疑義が生じた際に随時対応できること、週1回以上の評価(訪問・通所・ICT活用)、原則として月1回は訪問または通所による達成度評価を行うことなどが求められます。

これらすべてを満たさないと、報酬算定の対象にもなりません。

つまり、在宅利用は「完全な自由な在宅勤務」ではなく、事業所と緊密に連携しながら進める「在宅での支援付き就労」という位置づけです。月1回は事業所に出向くか職員の訪問を受ける必要があり、完全に出社ゼロという形にはなりません。

在宅のお問い合わせは今でもよくいただきますが、現在の在宅は自治体がそもそも厳しい条件づけがあるというのは以外とまだ知らない方が多いようです。

自治体が厳格に制限する背景

こうした制限が強まっている背景には、実際の就労実績が乏しいまま在宅を中心に運営し、制度を悪用した事例が相次いだことがあります。

大阪では、絆ホールディングス傘下の複数のA型事業所が、利用者をグループ内の「一般就労」に見せかけた形で繰り返し雇用・利用を循環させ、就労移行支援体制加算を過大に請求したとして、指定取消しと約110億円規模の返還請求を受けました。

監査ではオンライン就労を多用していた実態も指摘され、実際の支援や定着が伴わないまま在宅中心の運用が問題視されました。処分後、事業所は一斉閉鎖となり、多くの利用者に影響が及びました。

札幌は特に厳しいルールが追加されることが決定

札幌でも、サービスを提供していないのに虚偽請求を繰り返したA型・B型事業所の運営者が、詐欺罪などで実刑判決を受けるケースがありました。こうした不正や「在宅と言いながら実質的な支援が薄い」事例が続いた結果、札幌市は令和8年10月から在宅利用に対し、事業所の契約者数・1日の定員・個人の支給量それぞれについて「原則5割以下」とする厳しい上限を導入しています。

重度障害で通所が著しく困難な場合などを除き、ほぼ全面在宅のような運用は認められにくくなっています。

これらの事例が示すように、自治体は在宅を安易に認めれば就労実績のない事業者が報酬だけを得る温床になりかねないと考え、審査を厳しくしています。

参考:札幌市 指定就労継続支援事業所等における在宅利用時の支援についてhttps://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/zaitakusyuro/documents/zaitakusyuro-notification.pdf

それでも在宅利用を希望する場合に確認すべきこと

どうしても在宅を検討する場合は、まず現在利用中または利用を考えている事業所に相談するのが第一歩です。事業所が在宅支援に対応しているかどうか、対応できる業務内容を確認しましょう。

次に、市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援専門員に相談し、受給者証への記載や支給決定の変更が必要かどうかを確認します。自治体によっては事前の届出やアセスメントが求められるため、早めの動きが大切です。在宅が認められた場合でも、自己管理能力や自宅の作業環境が整っていることが前提になります。

現在は無条件で在宅を運用している事業所はほとんどないというのが実情でしょう。ハイブリッドワーク(在宅と出勤の混合型)は数は少ないですが存在しています。

まとめ

就労継続支援A型で在宅を選べるかどうかは、「本人の希望+市町村による支援効果の判断+事業所の体制要件」の3つがそろった場合に限られ、原則として選べるものではありません。

通所が基本とされるのは、直接的な支援の質を高め、就労能力の向上と社会参加を確実に進めるためです。大阪や札幌で起きた不正受給事件などを教訓に、自治体は「支援効果の有無」を厳格に判断し、割合制限や要件遵守を徹底する方向に動いています。

体調や障害特性で通所が難しい人にとっては選択肢の一つになり得ますが、「在宅だから楽」「通勤しなくて済む」という安易な理由では認められません。まずは近くのA型事業所や相談支援事業所に相談し、自分の状況で在宅が本当に認められるのかを正確に確認することが大切です。制度の枠組みを正しく理解した上で、安定して働ける形を探していきましょう。

この在宅・テレワークが廃止傾向は就労継続支援に関係なく、多くの一般企業でも同様の傾向です。今から勤怠の習慣づけを行うことに慣れておくこともいいかもしれません。

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