精神疾患による疲れやすさは甘えではありません 正しい理解と効果的な対策法
精神疾患による疲れやすさは「甘え」ではありません
近年、精神疾患を抱える方が増加傾向にあり特に「疲れやすい」「すぐに体がだるくなる」「朝から既に疲労を感じる」といった症状にお悩みの方が多くいらっしゃいます。
しかし、職場や家庭でももっと気合を入れれば、甘えているだけだと誤解されるケースが依然として見られます。
この症状は、本人の努力不足や甘えによるものではなくれっきとした医学的な疾患の症状です。精神疾患は目に見えにくいため周囲の理解が得られにくい一面がありますが、適切な知識を持つことで本人だけでなく企業や社会全体のウェルビーイング向上につながります。
この記事では、精神疾患による疲れやすさのメカニズムを解説した上で効果的な対策法の一例についてご紹介します。
疲れやすさは疾患や個人の特性によるものが大きいです。
1つずつ、メカニズムとその対策を一緒に考えていきましょう。
なぜ精神疾患で疲れやすくなるのか
精神疾患(うつ病、不安障害、双極性障害など)では、脳と身体にさまざまな機能的な変化が生じます。
具体的には、脳内のセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質のバランスが崩れ、自律神経系が乱れることで、身体のエネルギー産生や回復機能が低下します。
また、睡眠の質が低下し特に深い睡眠が不足することで翌日の疲労回復が十分に行われなくなります。
これらの変化により、健常者と同じ量の活動を行った場合でも疲労が急速に蓄積しやすくなります。
よくある例
- 朝起床した時点で既に強い倦怠感がある
- 軽い業務や移動だけで息切れやだるさを感じる
- 集中力がすぐに途切れる
このような症状は決してやる気の問題ではなく、身体のエネルギー代謝そのものが低下している状態です。
こうした疲労は放置すると症状の悪化を招く可能性があるため、早期に適切な理解と対応を行うことが重要です。
精神疾患による疲れやすさは個人の弱さではなく、脳と身体の病気による自然な反応であることを改めて認識する必要があります。
このような症状は自分でも疾患かどうかをすぐ判断しにくいものです。
まずは、自分がどういう症状が起きやすいかを把握し、対処が難しい場合は専門医に相談してみましょう。
効果的な対策法
精神疾患による疲労への対策の基本は、無理に「頑張る」のではなく、自身のエネルギーを上手に管理することです。
まず最も重要なのは、医療機関での適切な治療の継続です。精神科や心療内科での診察を受け、必要に応じて薬物療法や認知行動療法を活用することで症状の根本的な改善を図っていきましょう。
このような治療を続けることで、徐々に疲労感が軽減され、生活の質が向上するケースが多く報告されています。
>>参考 厚労省 心の健康ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kokoro/index.html
併せて、生活リズムの安定化も効果的です。毎日同じ時間に起床・就寝する習慣を心がけ、朝の日光を浴びることで体内時計を整えセロトニンの分泌を促します。
また、スプーン理論と呼ばれる考え方を参考に、1日の使用可能なエネルギーを事前に見積もり無理のないスケジュールを組むこともおすすめです。
予定を詰め込みすぎず定期的に短い休憩を挟むことで、疲労の蓄積を防ぎましょう。
職場の配慮やセルフケアの一例
職場においては時短勤務やフレックスタイムなどの合理的配慮を活用しましょう。
集中が必要な業務は体調の良い時間帯に配置し、短時間の深呼吸や軽い散歩や栄養バランスの取れた食事(特にタンパク質やビタミンB群、鉄分)を意識的に取り入れることで、日常的なセルフケアを行ってみましょう。
これらの対策は、一朝一夕で効果が出るものではありませんが、継続することで着実に症状のコントロールに取り組んでいきましょう。
就労事業所を選択の際はこのような事業所の配慮事項なども事前に相談しておくといいでしょう。大事なのは、相談の上自分にあった事業所を選択することです。
企業・事業所としてできること
企業・福祉事業所には、精神疾患を持つ社員・利用者が無理なく働ける環境を整備する重要な責任があります。
精神疾患は誰にでも起こり得る現代の健康課題です。
早期発見のための社内研修の実施や偏見を排除する風土づくりを心がけましょう。個々の状況に応じた柔軟な配慮の提供は単なる福利厚生ではなく、生産性の維持や優秀な人材の確保・定着のために現在必要とされているでしょう。
まとめ

まとめとして、精神疾患による疲れやすさは本人の努力不足や甘えではありません。これは脳と身体の機能低下による医学的な症状です。
正しい理解のもと医療的な治療と日常生活での工夫や職場での配慮を組み合わせることで、症状を和らげながら社会生活を送ることが十分に可能です。
ご自身や周囲の方がこのようなお悩みを抱えている場合は、一人で抱え込まずに専門医への相談をおすすめします。ご自身のペースを守りながら、回復と共生を目指していきましょう。
症状などのお悩みの場合は専門医に相談の上、ケア方法を組んでいきましょう。
ケアを行いつつ、就労支援で働きながら徐々に一般就労へ進む道も手段の一つです。