障害者雇用の職種傾向から考える、事務職の求人応募との向き合い方
厚生労働省のデータを見ると、身体障害者と精神障害者の就職先で「事務従事者」の割合が相対的に高い傾向があります。知的障害者は運搬・清掃・包装などの職種に集中しやすい一方で、身体・精神の両障害では事務職が共通して上位に来ています。
この傾向を踏まえると、「同じ事務枠で競争が起きやすい」という側面は確かにあるようです。
一方で、事務職は障害者雇用の中で比較的求人が多く、働き方の選択肢が広がっている分野でもあります。ここでは、現実の割合を押さえつつ、どう向き合っていくかを整理してみます。
本記事はあくまで全体の傾向からの推察となります。
傾向を理解することで、その対策を考える一つの材料としていただければ幸いです。
事務職の求人数・応募数が増加しやすい背景
身体障害者の場合、座位で対応できるデスクワークとの相性が良い点が大きいです。PC操作を中心とした業務であれば、環境調整によって働きやすくなるケースが少なくありません。
精神障害者の場合は、対人負担を抑えられる定型的な業務が選ばれやすい傾向があります。データ入力や書類整理、経理補助など、一定のリズムで進められる仕事が続けやすいと感じる人も多いようです。
企業側も「事務なら合理的配慮を導入しやすい」と判断して求人を出すことが多く、結果として身体障害者と精神障害者が同じ職種で出会う機会が増えています。競争はあるものの、求人自体が比較的安定して出ている分野であることも事実です。
事務職・オフィスは比較的障害者への配慮がしやすい環境の構築が容易なところもポイントと言えるようです。
クローズで一般事務を目指す場合のハードル
一般の事務求人は、健常者の求職者も多く全体として競争が激しい職種です。
クローズ(障害を開示しない)で挑戦する場合、ブランクの説明や体調管理の伝え方に工夫が必要になります。
入社後に必要な配慮が得られにくいリスクもあるため、難易度は高めと言えます。
ただし、症状が安定していて、ほとんど配慮を必要としない状態であれば、クローズで成功している例もあります。前職で事務経験が豊富な人や、在宅・リモート中心の求人であれば、可能性は広がります。
一般事務の有効求人倍率は多職に比べると低い(0.4目安)傾向にあり、全体が1.18倍な点を含めると競争率が高い傾向にあります。
例として、サービス業は2.5倍、介護は3倍など業種によっては大きな需要が存在します。その他の業種等もご自身が可能な場合は並行して応募してみるのも一つの手段ですね
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)」 有効求人倍率(季節調整値)1.18倍
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74767.html
どうするべきか? 現実的な選択肢を考えてみよう

データを踏まえたうえで、いくつかの向き合い方を挙げてみます。
1. オープン(障害者雇用枠)を積極的に活用する
事務職は障害者雇用枠で求人が比較的多い分野です。配慮を前提に募集されているため、長く働きやすい環境を見つけやすいメリットがあります。
特例子会社や大企業のバックオフィス、医療・福祉関連の事務など、選択肢は広がっています。まずはハローワークの障害者窓口や就労移行支援を活用して、自分に合う求人を探すのが現実的です。
例としてオープンの精神障害者の事務採用は29.8%と他業種と比較すると突出して高く、環境作りが他の業種より容易・障害者の需要も高いなども理由と思われます。
厚生労働省:令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001233719.pdf
2. スキルを具体的に積み上げる
事務職で評価されやすいのは、PCスキル(Excelの基本操作、データ入力の正確さ)、簿記などの資格、丁寧な書類処理能力です。就労移行支援や職業訓練でこれらを磨いておくと、オープンでもクローズでも選択肢が増えます。
リスタルでも、PC事務関連のスキルに対応したカリキュラムを用意しています。
直接には仕事に結びつかないスキルでも、何かを習得する際に学んだり自己工夫した経験はふとした際に活きるときがあります。成し遂げた達成感は自分の自信を強めてくれるでしょう。
3. クローズを選ぶ場合は条件を絞ってみよう
どうしてもクローズで挑戦したい場合は以下のようなポイントを考えてみましょう。
- ほぼ配慮が不要な状態で働ける見込みがある
- 事務経験が以前にある、採用後も淀み無く作業ができる
- 時短勤務・パートなどが可能なオフィス・雇用条件かどうかを調べてみる(必要な場合
このような条件が揃っている・一部が適応するかなどを冷静に見極めることが大切です。無理に一般枠にこだわらず、段階的に考えるのも一つの方法です。
また、上記の内容をベースにしつつ、面接や職務経歴書で問題なく働けることをしっかりアピール行いましょう。
4. 職種の幅を少し広げる
事務以外にも、軽作業や専門職の補助的な業務など、自分の特性に合いやすい仕事はあります。最初から事務に限定せず、複数の可能性を並行して探してみるのも有効です。
例えば、座り仕事に拘りたい・対面が苦手・体を使う仕事はできないのか、あるいは逆に動くのは得意かなど、自分の向き不向きをじっくり振り替えて見て考えてみましょう。
クローズで働くことを考えている場合は、一般の有効求人倍率は業種によってかなり開きがある点については留意しておきましょう。
最後に

障害の特性によって職種の傾向が分かれるのは事実ですが、それはあくまで限界ではなく傾向となります。
事務職で競争があるからといって道が閉ざされているわけではなく、オープンで丁寧に探す、スキルを積み上げる、環境を選ぶなどのこうした積み重ねで、働きやすい場を見つけている人は実際に多くいます。
大切なのは、データや傾向を知ったうえで、自分の状況に合わせて現実的な一歩を選ぶことだと思います。焦らず、支援機関も活用しながら、自分に合った働き方を探していくのがよいのではないでしょうか。
今回のデータはあくまで傾向という点に注意してください。
特に一般の企業の求人は前任者の退職などのスポット的要素が強く、タイミングが大きく作用します。落ちた場合でも、あまり深く悩みすぎずにじっくりと取り組んでいきましょう。